日本の世界遺産「平泉(ひらいずみ)―仏国土(ぶっこくど)(浄土(じょうど))を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」

19/01/2020

日本は「日本列島」と呼ばれる大小の島々で作られる、同一の言語と文化を持つ国です。しかし、その意識が固まったのは、1868年に明治時代が始まって以来の「近代」になってからだと言われています。

同じ言語と文化を持つ「日本」というくくりではありましたが、近代前の日本国内は「国」に分かれていました。

たとえば現在の東京(とうきょう)都・埼玉(さいたま)県・神奈川(かながわ)県東部が「武蔵国(むさしのくに)」、隣の神奈川県西部は「相模国(さがみのくに)」とそれぞれ呼ばれ、国境には関所(せきしょ=検問所)がありました。

そして、それぞれの国には領主がいて、その領主をまとめていたのが天皇であり、将軍でした。

12世紀ごろ、日本には大雑把に3つの勢力がありました。京都を中心に日本の西を支配していた天皇のいる「朝廷」。関東(かんとう)地方を中心に支配した将軍のいる「鎌倉幕府(かまくら ばくふ)」。そして東北(とうほく)地方を中心に支配した奥州藤原(おうしゅうふじわらし)氏のいる「奥州(おうしゅう)」です。

奥州藤原氏は、鎌倉幕府の将軍「源頼朝(みなもとの よりとも)」と対立し、西暦1189年に滅ぼされてしまいましたが、それまでは中国大陸と貿易し、独自の文化を築いていました。その奥州の中心地だったのが、今回紹介する「平泉(ひらいずみ)」です。

当時の歴史についてはこちら

世界遺産に選ばれた理由

寺社仏閣がたくさんある地方は、京都や鎌倉など日本にいくつもありますが、平泉の建築物は他の地方とは違う独自性があります。それは、戦乱にあったこの平泉地方で、平和な浄土を地上で表現しようとしたところです。

このテーマを踏まえて見ると、一層楽しめるでしょう。

しかも、これら数々の建築物を建てた藤原一族が滅んだ後も、建物は保存され、開発にさらされることなく当時の姿を保存している点も評価されました。

世界遺産の構成

平泉で世界遺産となっているのは、次の5ヶ所です。

1.中尊寺(ちゅうそんじ)

中尊寺は元々、藤原氏の初代当主である藤原清衡(ふじわらの きよひら)が、自分の遺体を安置する場所として建築しました。そして死後に自分が浄土に行けるように、中尊寺やその周辺を「浄土」をテーマにして整備し始めました。

特に、当時の最先端技術を結集した「金色堂(こんじきどう)」は内側も外側も金箔が貼られ、建設当時は非常に見事だったことでしょう。現在は「覆堂(おおいどう)」と呼ばれる建物に囲まれ、またガラスで全体を覆って保護されています。

また、写経した経文を納める建物には、初代当主の写経が残っていますが、紺色の紙に金の文字で書かれていてとても美しく、国宝にもなっています。

住所岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関(いわてけん にしいわいぐん ひらいずみちょう ひらいずみころものせき)202
営業時間3月1日〜11月3日 8:30~17:00
11月4日〜2月末日 8:30~16:30
定休日年中無休
入場料大人 800円、高校生 500円、中学生 300円、小学生200円
URLhttp://www.chusonji.or.jp/index.html
アクセスJR東北(とうほく)本線「平泉(ひらいずみ)駅」から路線バスに乗り「中尊寺(ちゅうそんじ)」下車

2.毛越寺(もうつうじ)

本堂は13世紀に焼失してしまい残っていませんが、庭園は当時の設計のまま残っています。

この庭園も「浄土」をテーマにしています。中央の大きな池に水を引いてくる水路である「遣水(やりみず)」はゆっくり蛇行して作られていて、当時の人の想像する「浄土」がどのようなものだったのかを今に伝えています。

住所岩手県西磐井郡平泉町平泉大沢(いわてけん にしいわいぐん ひらいずみちょう ひらいずみおおさわ)5
営業時間8:30〜17:00
定休日年中無休
入場料大人 500円、高校生 300円、小中学生 100円
URLhttp://www.motsuji.or.jp/index.html
アクセスJR東北本線「平泉駅」から路線バスに乗り「毛越寺(もうえつじ)」下車

3.観自在王院跡(かんじざいおういんあと)

毛越寺と隣接した場所にある寺院跡です。西暦1189年に鎌倉幕府から攻められた後に荒廃してしまい、水田となっていましたが、現在は発掘・復元されています。

こちらも「浄土」をテーマにした庭園が残っており、今に当時の人々の思想を伝えています。

住所岩手県西磐井郡平泉町平泉志羅山(いわてけん にしいわいぐん ひらいずみちょう ひらいずみしらやま)
アクセスJR東北本線「平泉駅」から徒歩7分

4.無量光院跡(むりょうこういんあと)

京都にある「平等院鳳凰堂(びょうどういん ほうおうどう)」を模して建てられた寺院跡。煌びやかな建物だったと言われていますが、度重なる火災で焼失してしまい、現存はしていません。

しかし発掘調査により、その遺構がかなり細かく判明し、国の史跡となっています。

春分・秋分の時期にここに来ると、この地と近くの山「金鶏山」がセットで「浄土」の光景を私たちに見せてくれます。

住所岩手県西磐井郡平泉町平泉花立(いわてけん にしいわいぐん ひらいずみちょう ひらいずみはなだて)
アクセスJR東北本線「平泉駅」から徒歩5分

5.金鶏山(きんけいざん)

平泉にある約99mの小さな山です。藤原氏の時代に、平泉の都市計画を立てるにあたり、基準点となった場所とされています。

山頂から真南に向かって毛越寺の境内や主要道路があります。春分・秋分の時期に無量光院の境内のある地点から見ると、夕日がちょうど山頂に沈むなど、浄土をテーマにした空間設計がなされていることがわかります。

住所岩手県西磐井郡平泉町平泉花立(いわてけん にしいわいぐん ひらいずみちょう ひらいずみはなだて)
アクセスJR東北本線「平泉駅」から路線バスに乗り「悠久(ゆうきゅう)の湯」下車後、徒歩3分

平泉観光の前に観光案内所に寄ろう

現時点で世界遺産に登録されているのは上記5ヶ所ですが、平泉には重要な文化財がまだまだたくさんあり、登録資産の拡大を目指しています。

そんな見どころがたくさんある平泉旅行を満喫するには、平泉駅前にある観光案内所に寄ってみましょう。

英語・中国語・韓国語など、各言語に対応したパンフレットがあります。特にお勧めなのは、500円で貸し出している7ヶ国語に対応した音声ガイドです(残念ながら、まだベトナム語では準備されていないようですが、英語があります)。

他にもレンタサイクルや、フリーパスも取り扱っていて、時間や予算などのニーズに合わせた観光コースも案内してもらえます。

観光前にぜひ一度立ち寄ってみましょう!

住所岩手県西磐井郡平泉町平泉泉屋(いわてけん にしいわいぐん ひらいずみちょう ひらいずみいずみや)61-7
営業時間8:30~17:00
定休日年中無休
URLhttp://hiraizumi.or.jp/index.html
アクセスJR東北本線「平泉駅」前